2017/06
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百人一首 44♪
あ       た
逢ふことの 絶えてしなくは なかなかに
ひと  み    うら
人をも身をも 恨みざらまし (中納言朝忠 ちゅうなごんあさただ / 藤原朝忠 ふじわらのあさただ)



『 読み方 』
オーコトノ タエテシナクワ ナカナカニ
ヒトオモミオモ ウラミザラマシ

『 現代語訳 』
「もし逢うということがまったくなかったなら、かえってあの人の無情さをも、わが身のはかなさをも、恨みに思うことはなかっただろうに。」

※逢ふ・・・男女が契りを結ぶ。
※絶えてし・・・「たえて」は、「まったく」。「し」は強調の副助詞で、現代語訳しない。
※なくは・・・「なく」は形容詞「なし」の連用形。「形容詞連用形+は」で仮定条件をあらわす。「なくは」で、「もしないならば」。
※なかなかに・・・かえって。
※人をも身をも・・・「人」は相手、「身」はわが身。つれない相手をも、はかないわが身をも。
※恨みざらまし・・・「ざら」は打消の助動詞「ず」の未然形。「まし」は反実仮想(はんじつかそう)の助動詞。上の仮定条件(この歌の場合は「なくは」)と呼応して、「もし~ならば、~だろう」などと訳す。

これも、40句目や41句目と同じく、「天徳内裏歌合(てんとくだいりうたあわせ)」に出された歌です。

反実仮想の構文に注意して下さい。
反実仮想というのは、事実に反する仮想をめぐらすというもの。
いろいろなバリエーションがありますが、おおまかにいえば、

「~仮定条件・・・・・まし」

という形をとります。
これで、「もし・・・・・だったならば、・・・・・だっただろうに」という意味。

例えば
鳥ならましかば、飛びて行かまし
「もし鳥だったならば、飛んで行っただろうに」
事実をいえば、人間は鳥ではありません。だから、飛んでも行けない。
でも、その事実に反して、「もし鳥だったならば・・・・・」という想像をめぐらすわけです。
これが反実仮想です。

この歌も、贅肉を落として、反実仮想のところだけを明確にしてみましょう。

逢ふことなくは、恨みざらまし

もしあの人に逢うことがなかったならば、恨みに思うこともなかっただろうに・・・・・。
事実をいえば、あの人には逢っているわけです。
同時に、恨みにも思っている。
その事実を逆にして、「もし逢わなかったなら・・・・・」と想像することで、作者はどうしようもない現実に、一瞬の救いを求めているのかもしれませんね。



『 作者について 』

中納言朝忠=藤原朝忠(910~966)

三条右大臣藤原定方の五男。
左中将・参議などを経て、従三位中納言まで昇進。
土御門中納言ともいう。
和歌のほかに、笙(しょう)の名手でもあった。
三十六歌仙の1人。
家集に『朝忠集』。


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Author:クマコ
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自然風景が大好きです♪

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