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百人一首 16♪
   わか       やま  みね お
たち別れ いなばの山の 峰に生ふる
      き       かへ こ
まつとし聞かば いま帰り来む (中納言行平 ちゅうなごんゆきひら / 在原行平 ありわらのゆきひら)



『 読み方 』
タチワカレ イナバノヤマノ ミネニオール
マツトシキカバ イマカエリコン

『 現代語訳 』
「あなた方と別れて因幡(いなば)の国に去ったとしても、その因幡の
山の峰に生えている松ではありませんが、あなた方が私を待っていて
下さると聞いたならば、私はすぐにでも帰ってこようと思います。」

※たち別れ・・・「たち」は強意の接頭語。訳す必要はない。
※いなばの山・・・因幡の国(鳥取県)の山。「往なば(=去ったならば)
との掛詞。
※まつ・・・「松」と「待つ」との掛詞。
※し・・・強意の副助詞。訳さなくてもよい。
※いま・・・すぐに。
※来む・・・「む」は意志の助詞。「~よう」などと訳す。

作者が因幡の国の国司(こくし)に任命された時、4~5年の任期の間し
ばらく都に帰ってこれない行平との別れを惜しむ人たちが送別の宴を
催してくれました。
その時のあいさつが、この歌だったということです。
※国司・・・地方長官

掛詞が2ヶ所使ってあります。
技巧的な歌なので、言葉の組み立てを整理しておきましょう。
まず骨組みです。

(私が)たち別れ往なば (あなたたちが)待つとし (私が)聞かば
(私は)いま帰り来む

「私があなたたちと別れて去っても、あなたたちが私を待っていて
くれると聞いたなら、私はすぐにでも帰って来ようと思います。」

これだけが言いたいことですが、これでは「歌」とはいえません。
食品でいえば、そうめんのようなもの。
薬味とつゆがなければ、美味しくありません。

そこで
因幡の山の 峰に生ふる松

という薬味を加えます。
これで、「私は因幡に行くのです。そこは、松の生えたうらさびしい
ところですよ。」という映像が人々に伝わります。
掛詞を使えばこその、高度テクニックが用られております。



『 作者について 』

中納言行平=在原行平(818~893)

平城(へいぜい)天皇の皇子・阿保(あぼ)親王の子。
在原業平の異母兄。
伝説では悲劇的な人物として知られているが、実際には政治的手腕に秀でた有能な官吏であった。
在原氏一門のために「奨学院(しょうがくいん)」という学問所を創設。
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