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百人一首 99♪
ひと    ひと うら
人もをし 人も恨めし あぢきなく
よ おも          おも み
世を思ふゆゑに もの思ふ身は (後鳥羽院 ごとばいん)



『 読み方 』
ヒトモオシ ヒトモウラメシ アジキナク 
ヨオオモーユエニ モノオモーミワ

『 現代語訳 』
「人がいとしくも、恨めしく思われる。この世をつまらないと思うがゆえに、いろいろともの思いをする自分には。」

※人もをし・・・「人」は「身(自分)」に対する他人。「愛(を)し」は、いとしい。
※あぢきなく・・・つまらなく。
※もの思ふ身は・・・倒置で、初句・二句につづく。

数奇な生涯をおくった後鳥羽院の術懐歌。
承久の乱の9年前、院が33歳のときに詠んだ歌です。

あぢきなく」という言葉が主題です。このキーワードをはさんで、前半に「人をし人恨めし」という対の表現、後半に「世を思ふゆえにもの思ふ身は」という反復表現が置かれていることに注意して下さい。

後鳥羽院は「あぢきなく(つまらんなあ・・・)」と言っています。
何がつならないのか・・・・・。

あぢ着なく 世を思ふゆゑに (こんな世の中つまらないと思うから)
あぢきなく もの思ふ身は   (つまらないもの思いをする私は)

世の中もつまらないし、もの思いもつまらない。
つまらないことづくしです。

この「あぢきなく」は「世を思ふ」にかかるとするのが通説ですが、「もの思ふ」にかけてもいいのではないでしょうか。
この世がつまらないのは、他人のことが信じられないからですが、もの思いをするのは、そういう他人を信じたいからなのでしょう。
ですから、

人も愛し 人も恨めし!

自分には他人がいとおしい時と、他人が恨めしい時がある。
全国土を統治し、万民の父であるべき帝王にとって、そういう心のありようは恥ずかしいことでした。
つまらないといえば、そういう自分が1番つまらない。
「あぢきなし」という言葉が、最後には自分に返ってきているわけですね。



『 作者について 』

後鳥羽院 (1180~1239年)

高倉天皇の第四皇子。第82代天皇。
4歳で即位、19歳で譲位。
承久の乱で隠岐に配流。在島19年、60歳で崩御。歴代帝王中、屈指の歌人で、『新古今集』の編纂を親裁。
歌学書に『後鳥羽院御口伝(ごとばいんごくでん)』、家集に『後鳥羽院御集』。
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