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百人一首 83♪
よ なか  みち        おも い
世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る
やま おく   しか な
山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる (藤原俊成 ふじわらのしゅんぜい)



『 読み方 』
ヨノナカヨ ミチコソナケレ オモイイル 
ヤマノオクニモ シカゾナクナル

『 現代語訳 』
「この世の中にはのがれる道もないのだなあ。深く思いこんで分け入った山の奥でも、悲しそうに鹿が鳴いているようだ。」

※世の中よ・・・「よ」は感動の助詞。「この世の中というものは、まあ・・・・・」という気持ち。
※道こそなけれ・・・道はないのだ。「道」はこの世の憂さからのがれる道。
※思ひ入る・・・「深く思いこむ」と「山に入る」。2つの意味をかねている。
※山の奥・・・「山の奥」は、遁世者(とんせいしゃ)の世界である。
※鹿ぞ鳴くなる・・・鹿が鳴いているようだ。

保延6年(1140年)頃、「術懐百首」として詠んだ歌の中の1つ。
「述懐」は、思いを述べるということで、江戸時代までは「しゅつかい」と読んでいました。
作者、藤原俊成(定家の父)、27歳頃の作です。

俊成の「懐(おもい)」とは、どのようなものだったのでしょうか。

世の中よ 道こそなけれ
世の中に逃げる道はにあよ、と俊成はいっています。
何から逃げるのか・・・。
苦しみです。憂き世のつらさ、俗世の憂鬱、というもの。

思ひ入る 山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる
俊成は決心しました。
「そうだ、隠遁(いんとん)して、山の奥に行こう・・・」
しかし、そう思って入った山の奥にも、悲しみはありました。
「ヒョー・・・」
雄鹿が妻を求めて鳴いています。悲しい悲しい声で。
そして・・・。

世の中よ 道こそなけれ
逃げる道などないのだ、と俊成は思います。あきらめるということは、出発するということでした。
汚れた憂き世でも、悲しい俗世でも、生きていかなければいけない!
動乱の世を、90歳すぎまで生きた藤原俊成、27歳の決意でした。



『 作者について 』

藤原俊成 (1114~1204年)

権中納言俊忠の子。
定家の父。
和歌を藤原基俊に学んだが、源俊頼の清新な歌風にも影響を受け、独自な歌境をひらいた。
御子左家の家学を創立。
『千載集』選者。
歌論に『古来風体抄』、家集に『長秋詠藻』。
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