2017/08
≪07  1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11  12  13  14  15  16  17  18  19  20  21  22  23  24  25  26  27  28  29  30  31   09≫
百人一首 74♪
       ひと はつせ  やま
うかりける 人を初瀬の 山おろしよ
           いの
はげしかれとは 祈らぬものを (源俊頼朝臣 みなもとのとしよりあそん)



『 読み方 』
ウカリケル ヒトオハツセノ ヤマオロシヨ
ハゲシカレトワ イノラヌモノオ

『 現代語訳 』
「私につれなかった人を、なびいてくれるようにと初瀬の観音にお祈りはしたが、初瀬の山おろしよ、おまえのようにひどくなれとは祈りもしなかったのになあ。」

※うかりける人・・・つれなかった人。こちらが思っても、なびかなかった人のこと。
「うかり」は形容詞「憂し」の連用形に過去の助動詞「けり」の連体形がついたもの。
「憂し」は「思い通りにならず、つらい」とか「つれない」という意味になります。
※初瀬・・・桜井市初瀬町。ここに長谷寺がある。この寺の十一面観音は霊験(れいげん)あらたかといわれ、都から多くの人が足を運んだ。
※霊験あらたか・・・神仏による効験が明らかに表れるさま。神仏が著しく感応するさま。「霊験灼然」(れいげんいやちこ)などとも言う。
※山おろしよ・・・「山おろし」は、山から吹きおろす激しい風。ここは、それに向って呼びかけた形。
※はげしかれ・・・形容詞「はげし」の命令形。風が「はげしくあれ」であると同時に、私に対する冷淡な仕打ちが「はげしくあれ」という意をかねる。
※祈らぬものを・・・祈らないのになあ。「ものを」は逆説。詠嘆の意がこもる。

藤原俊忠の邸で、恋歌10首を詠むことになった時の歌。
題は「祈れども逢はざる恋」
神に祈っても逢うことのできない恋、という意
味です。

複雑な文脈ですね。
意味がとりやすいように、歌を解体してみましょう。
主文脈はこれです。

うかりける人を「はげしかれ」とは祈らぬものを!
(つれなかったあの人のことを、「もっとつれなくなれ」なんて祈らなかったのに!)

これでは、だれに祈ったのか分かりません。
神か、仏か・・・。

初瀬の山おろしよ(長谷寺の山おろしよ)
この表現で、なるほど、この人は都からはるばる奈良の長谷寺まで行ったのだ、とわかります。
そこまでするのだから、この恋はかなわぬ恋なのでしょう。

初瀬の山おろしよ「はげしかれ」とは祈らぬものを!
(初瀬の山おろしよ、「激しく吹け」とは祈っていないぞ!)

吹きすさぶ山おろしの風に、困り果てている作者の姿が浮かびます。
山おろしの風のように、冷たくかたくなな相手の心・・・。
山おろしの風に吹かれ、こごえて切ない自分の心・・・。
そして再び、振り出しに戻ります。

うかりける人を「はげしかれ」とは祈らぬものを!
(観音様に、「彼女がもっと冷たくなれ」なんて祈っていないのに。)

こんな思いをして、風に吹かれて、長谷寺にお参りをしたのに、前よりももっと彼女は冷たくなった。
ねえ、観音様、ひどいしゃありませんか!
霊験あらたかっていうのは、うそですか!
彼女は山おろしの風みたいに、前よりももっと、冷たくなってしまいましたよ・・・。



『 作者について 』

源俊頼朝臣 (1055~1129)

源経信(みなもとのつねのぶ)の三男で、俊恵(しゅんえ)の父。
官位は従四位木工頭に終わったが、院政期の歌壇をリード。題材・用語・表現にわたって、自由で斬新な歌風をひらく。その歌風の一端は、俊成に継承された。
家集に『散木奇歌集』。歌論に『俊頼髄脳』。
スポンサーサイト
Secret
(非公開コメント受付中)

プロフィール

クマコ

Author:クマコ
Photo-ZEROに所属。
自然風景が大好きです♪

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
カウンター
リンク