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2013/03
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百人一首 73♪
たかさご をのへ さくら さ
高砂の 尾上の桜 咲きにけり
とやま かすみ た
外山の霞 立たずもあらなむ (権中納言匡房 ごんちゅうなごんまさふさ/大江匡房 おおえのまさふさ)



『 読み方 』
タカサゴノ オノエノサクラ サキニケリ 
トヤマノカスミ タタズモアラナン

『 現代語訳 』
「遠くの高い山の峰に、桜が咲いたなあ。近くの山の霞よ、どうか立たないでおくれ。」

※高砂の・・・「高砂(たかさご)」は砂が高く積もったところ。すなわち、高い山の意。兵庫県の地名とする説もある。
※尾上・・・「峰(を)の上(うへ)」がつづまった語。山の頂。
※桜・・・山桜のこと。都の桜より開花時期が遅い。
※外山・・・「外山(とやま)」は、人里に近い山。「深山(みやま)・奥山(おくやま)」に対する語。
※立たずもあらなむ・・・立たないでほしい。「なむ」は願望の終助詞で、「~してほしい」などと訳す。

内大臣藤原師通の邸(やしき)で酒宴と歌会が催されたとき、 「遥望山桜」という題で詠まれた歌です
「遥望山桜」は、遥かに山桜を望むということ。
遠山の桜がきれいだ、だから近くの山の霞よ、どうか桜を隠さないでおいてくれよ、というのですね。

「高砂の尾上」と「外山の霞」を対照させたところが、この歌のポイント。
遠景と近景です
この2語が、明るい春景色に、遠近法のような奥行きを与えています。作者が詠もうとしたのは、山桜そのものではなく、うららかな春のパノラマでした。

上の句では「S」の音が利いています。
たかごの おのへのくら きにけり

下の句では「T」の音。
やまのかすみ たたずもあらなむ

とても清澄で、リズミカルな調子です。
こういうリズムで、折り目正しい言葉を使い、壮大な景色を詠み込んだ歌は、 「長(たけ)高し」といって尊重されました。
また、正統な格調の高い歌ということで、「正風体(しょうふうてい)」と呼ぶ人もいます。




『 作者について 』

権中納言匡房=大江匡房 (1041~1111年)

成衡の子。匡衡・赤染衛門の曾孫。
太宰権帥・権中納言・正二位まで昇進、江帥と呼ばれた。
学問の家、大江家の長。
当代第一の詩文家として知られた。
博学多識で著書も多い。
家集に『江帥集』。
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